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Mayucove's NEWS / BLOG

食べものたちの物語 2024.03.20

小麦

やっぱり自分で育てた小麦食べたいよね、という農園主まーやんの気持ちで小麦の栽培は始まりました。近所の農家さんに聞いてみると、小麦ではないが、昔はたくさん麦を作っていたそう。農協によると、現在小麦の出荷はほぼないようでした。

小麦の自給率は現在約20%。そのほとんどを北海道に頼っています。有事の際、小麦が入らないもしくは暴騰する場合は、おそらくオイルも同様に手に入りにくくなるでしょう。徳島に麦を運ぶことも難しくなります。

徳島でしっかりと小麦を育てる土壌を育むことはとても大切です。土壌というのは土だけでなく、種や機械、技術、それに販売もです。昭和時代は今よりも小麦を生産していました。自給率が100%を超えた時期もあったようです。ということは、栽培自体は可能なのです。麦の種類は異なるかもしれませんが、いずれにせよ麦が育つという事実はある。

一旦衰退してしまった麦の栽培を復活させるのは大変ですが、誰かが少しずつ残していかないと。

 

私たちの栽培は「有機自然栽培」です。肥料農薬、除草剤、動物性堆肥も使用しません。麦を育てるのに難しさはあります。でもやっぱり家族、友人、地域の人、徳島の人に小麦が育っている姿を見てほしいです。国産と叫びながらも自分は全く見たことはなく、どこかで育っているらしい、という実態です。見たこと、体験したこともないと国産として大切に残していこうとはならないのです。

 

マユコベで栽培してみたら素晴らしい出来でした。

中力粉と準強力粉を育てました。しっかりと小麦の味がする。シンプルなパンやお菓子に抜群です。中力粉はうどん用とされていますが、実際はなんでも使える万能小麦。自然栽培で育てると、多少グルテンが少なくなるので、薄力粉のようにも使えます。品種は農林61号という昭和19年(1944年)に開発され、戦後全国で栽培され、20世紀を代表する品種です。当時から風味の素晴らしい小麦と言われ、現代の品種よりも優れているという意見もあり、復興が徐々に進んでいます。

準強力粉は中華麺用とされますが、パスタやフランスパン用としても使われます。パン用として菓子パンなど軽めのパンやピザにはバッチリに仕上がりました。中力粉よりはグルテンも多く、パン向けです。品種はニシノカオリ。こちらも香り高いという特徴が有名です。栽培が開始されたのは2010年と最近ですが、製パン適性(めっちゃパン作りやすいという特徴)を求める実需者、主に企業ですが、の希望で、すぐに異なる品種が開発され、ニシノカオリはあまり日の目を見なくなってしまいました。

ただ素晴らしい品種であることには間違いなく、大規模実需者には合わないということです。

今後、強力粉や薄力粉の品種も育てるかもしれませんが、まずは今の2つの大切な小麦を育て、たくさんの人に眺められて、食べられて、一緒に関わりながら、愛されることを目指しています。

お米もたくさん食べてほしいけど、パンやパスタなど小麦製品も美味しいよね。どうせなら肥料や農薬に頼らない方法で育てて、地球も体もより幸せになればと願っています。
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