お米ができるまで

1年に1回だけのお米づくり。

わくわくしながらも、春が近づくにつれて、緊張が高まります。

いのちある種がつながる様子を御覧いただきましょう。

〜4月〜  冬の間休んでいた種が目を覚まします。

まず昨年から残しておいた種籾を良い種とそうでない種に分けます。

水の中に種を入れると、良い種は沈み、その他は浮きます。

通常は塩水にして「塩水選」。

マユコベは泥を混ぜて「泥水選」を採用しています。

 泥水選の後、1週間ほどそのまま水に浸けます。

種籾がぷくっと膨らんだ頃、種まきをします。

機械で植えるものは機械で種まきを。

手で植えるものは、畑の苗床に直接種をまきます。 

 

 

 

 

 

ついに始まった、お米の成長です。

種まきをした次の日から、

種籾の中では生きるための活動が始まるのです。

 

〜5月〜 お米を田んぼに挿していく。

約40日成長した稲の苗を丁寧に手で植えます。

機械で植える何倍もの時間がかかりますが、

あせらずにゆったりとした気持ちで丁寧に植えることができると、

稲もわかっているのかな、すっと立ち上がって元気な顔をしています。

 

〜6月〜 大勢の人の足音が、稲の成長を助けます。

6月になると、田植えのイベントが開催されます。

普段泥遊びをしない子どもたちも、

田んぼで走り回って、気持ちよさを体で感じます。

おとなになってもその感覚はきっと覚えている、それが大切です。

草取りの日々が続きます。

草取りには道具を使ったり、生き物を利用をしたりしますが、

どうしても取り切れない草は田んぼに入って手で取ります。

田んぼはどこも同じではないので、

草がよく伸びるところは、

座り込んでひたすらに草取りすることもあります。

笑っているけれど、泣きそうです。そんなときもあります。

猛暑の日もあります。

でも、諦めてしまうと、稲も成長をとめてしまいます。

 

〜7月〜 分けつ(ぶんけつ)の進む時期。稲の成長に驚きながら感動する。

草取りもまだまだ続きますが、

力強く育つ稲に元気づけられます。

分けつといって、どんどん茎の数が増えていきます。

7月の末には茎の中で穂の赤ちゃんが育ち始めています。

稲はまっすぐに太陽に向かって伸びています。

〜8月〜 出穂(しゅっすい)稲の穂が気持ちよく風に揺られます。

肥料を使わない栽培ですから、稲の個体によって生育は少し違います。

あっ、あそこで出穂している!と、稲穂をみつけます。

毎日少しづつ増えていく稲穂。

今は元気に色鮮やかな緑色です。

〜9月〜 頭を垂れる稲穂。

みのりの季節、だんだんと黄金色に近づきます。

田んぼからのエネルギーを一番強く感じるときです。

収穫までもう少し。

台風の多い時期なので、油断ができません。

 

すっかり色づいたお米。

豪雨や台風を乗り越えて、まだ、しゃんっと立っています。

思わず手を合わせます。

育てていた存在から、頼りになる存在へとわたしの気持ちが変わります。

 

〜10月〜 最後は天日干しで。自然の力でおいしく。

種まきからここまで、土の力、自然の力を存分に受けながら、お米は育ちます。

最後にはざがけと呼ばれる天日の自然乾燥をおこないます。

秋の優しい太陽の光を全身に浴びながら、

ゆっくりと10日間ほどかけて、乾かします。

〜育ってくれてありがとう〜

収穫したお米は脱穀(だっこく)後、籾摺り(もみすり)という作業を行い、籾殻と玄米に分けます。

稲わらは田んぼへ、籾殻は次の年のお米づくりの土作りへ。玄米は人の体へ。

すべてが廻る。捨てることろなんてひとつもない。

自然の恵みですくすくと育ったお米。

食べたらきっと体も喜びます。

 

皆様のところへ届きますように。徳島からあふれる想いとともに。